
ねえカレーマン、和歌山カレー事件の真犯人ってだれなの?

1998年の事件当時、66歳だったおばちゃんらしいで。

えっ、そうなの!? なんで知ってるの? ていうか、そんな情報はじめて聞いたわ。
真犯人は事件当時66歳の給仕の女性?

「判例時報」の平成29(2017)年11月11日号に書いてあるで。

なにそれ?

第一次再審請求の和歌山地裁(浅見健次郎裁判長)が出した「浅見決定」を特集している法律雑誌やで。


この雑誌に真犯人のことが書いてあるの?

そうやで。

カレー事件の真犯人って、林家の次女とか長女とか、近所の子供とか、地元に2軒あるお好み焼き店の抗争とか、林家をはめたとか、そういうのが言われているわよ?

どれもネットの噂話やな。でも、林眞須美先生が犯人ではないということが広まっている証拠やな。

だって、いつまでたっても死刑が執行されないじゃない。ドキュメント映画「マミー」の影響も大きいと思うわ。

そやな。そもそも、林眞須美先生は一度も自白してないしな。先生の夫の健治さんと長男さんも地上波やYouTube番組に出て、林眞須美先生の無実を訴えているしな。

で、このブログ記事を読めば真犯人が分かるの?

いまは再審請求をしているところやから、真犯人より無罪の証拠が大事なんやで。

そうなんだろうけど、こまかい証拠のことはいいから、手っ取り早く真犯人を教えてちょうだい。

せっかちなねえちゃんやなw まあズバリこの人とはいかんけど、ネットに出回ってない情報をソース付きで示すから、真犯人のイメージにだいぶ近づくと思うで。
弁護団が提示していた真犯人

ここが「浅見決定」で真犯人に関するくだりや。「P14」というのがそのおばちゃんやで。



弁護団が真犯人のことを提示して、それを裁判所が否定している文章? 否定されちゃダメじゃないの。

否定されるのは想定内や。冤罪事件の再審請求で、弁護団が真犯人を提示するのはあるあるやで。真犯人というアナザーストーリーを示して裁判官の心証に訴えかける狙いや。

弁護士がこんな際どいことを書くってことは、自信があるとみていいのかしら?

そうやろな。弁護団は、何回も園部に入って住民から聞き取りをしたようやからな。弁護団の弁護士も、調査の一部をツイッターXで開示してくれてるで。

真犯人の詳しいことは教えてくれないかしら?

それは言えんやろな。でも、P14が事件当日のカレー作りに参加したり、夏祭り会場で食べ物の給仕をした人物であることは分かったで。
ヒ素を所持していた(林家以外の)住民

え、そうなの? なんで分かったの?

確定審(最初の1~3審)の一審の判決文に書いてあるで。「滋賀a子」がP14やで。


P14が滋賀a子だというのは、なんで分かるの?

それはここに書いてあるで。「カレー鍋を一人で見張っていた住民」は林眞須美先生以外に3人いるんやけど、「夫との2人暮らし」は滋賀a子だけや。それが上の浅見決定ではP14や。


ちなみに、カレーを作って見張りをしていたガレージと、夏祭り会場の位置関係はこうやで。すぐ隣やで。


滋賀a子がカレー鍋にヒ素を入れたっていうこと?

弁護団の調査によると、そういうことやな。

ヒ素なんて持っていたのかしら?

上の浅見決定には、弁護団の調査として「所持し」ていたと書いてあるな。それに、一審判決文の赤下線に「製材業」と書いてあるやろ。

あるわね。滋賀a子の夫の以前の仕事って。

製材業となると、ヒ素と接点が出てくるんや。


木材の保存剤に、ヒ素を含む薬剤が使われていたということね。

そういうことや。

弁護団の調査によると、滋賀a子はヒ素を所持していた。
夫はヒ素と接点のある仕事をしていた。
おまけに、夫はアルコール依存症で家庭は荒んでいたらしい、と。

もちろんそれらも「状況証拠」でしかないけど、確定一審の判決文では、林家以外にヒ素を持っていた住民のことは一切出てこないんや。この事実は重いで。
「本人か家族が食べた」ら犯人候補から外した裁判所

でも待って。上の判決文をよく読むと、滋賀a子はカレーを食べているわね?

お、ええとこに気付いたな。そうなんや。滋賀a子はカレーを食べて、急性ヒ素中毒になってるんや。負傷者63人のなかの一人なんや。


じゃあ、犯人じゃないんじゃないの?

裁判所もそのスタンスや。本人か家族がカレーを食べていたら、自動的に犯人候補から外したんや。

カレーマンは、それはおかしいと思うの?

ちょっと短絡的すぎやと思わへんか? こんな顔見知りしか参加しないお祭りで食べ物に毒なんて入れたら、調理や給仕を担当していれば、自分にも疑いが向くことは予想がつくはずや。

だから、自分も食べて「被害者」になりすまそうと考えたってこと?

そうであっても不思議はないと思うで。ヒ素の知識が浅くて、こんなに症状が重くなるなんて知らんかった、いわんや4人も死ぬなんて思いもしなかったのかもしらんしな。
真犯人に都合よく展開した警察捜査
「あたし以外に毒を入れた人がいたんだ」

でも、カレーの調理や給仕を担当した主婦なら、それこそ警察がしっかり調べたんじゃない?

それは裁判所もそう判断しているんや。でも思い出してほしいんやけど、この事件は当初は「青酸カレー事件」と報道されたんや。

そうよね。カレー鍋に青酸化合物が混入されたということだったわ。

真犯人はこう思ったんちゃうか、「自分が入れたのはヒ素なのに、青酸化合物を入れた人が他にいたんだ」。

4人も死んでしまった罪の意識から逃れたい一心から、そんなふうに思い込んだかもね。

少なくとも、警察官の事情聴取に平静を装える程度には自分を偽れたんちゃうか。

あり得るわね。でも、7月25日が事件で、ヒ素の検出が8月2日。真犯人さん、そこからは生きた心地がしなかったでしょうね。

せやな。でも、その後も真犯人にとって都合のいい展開になったんやで。

どういうこと?
捜査本部を興奮させた〝舎弟〟の情報

林家の舎弟のあんちゃんがおってやな。

ああ、「マミー」にも声だけ出演していた、林健治さんの舎弟の泉○典さんね。林家に住み込んで、ヒ素を飲む保険金詐欺をいっしょにやっていた当時36歳の人。

そうなんや。その泉○典は、事件の年の3月に林家を出て、実家に帰っていたんやけど、もう一人の仲間から、組織を抜けたということで嫌がらせを受けていた。それで警察に相談していた。

詐欺をやっていたのに警察に相談するなんてシュールね?

泉○典は、父親も妹も妹の夫も警察官やからな。オレは絶対に逮捕されないとよく言うてたらしいで。

まったく、どうしようもない男ね。

ほんまやで。で、泉○典は、林家がヒ素を使う保険金詐欺をしていたことを警察に話した。

カレー鍋にヒ素を混入する殺人事件がおき、その3軒となりの家で、ヒ素を飲む保険金詐欺事件がおきていた。

そういうことや。

捜査本部は興奮したでしょうね。こんな近所でヒ素を使った事件が2件あるなんて、偶然とは思えないもの。それで、泉○典は、林家の保険金詐欺をいつ警察に話したの?

そこは分からんけどな。この動画の7:02によると、捜査本部は事件2日後にはすでに、林家の保険金詐欺の情報を掴んでいたんや。


なるほどね。警察は林家を怪しいとは思いつつ、でもカレー事件との関係は分からなかった。
8月2日になってヒ素が検出され、そののち泉○典がヒ素詐欺のことを話し、捜査本部のなかで「カレー事件と林家」が繋がった。
そうして林眞須美さんが第一容疑者になった。

そして真犯人は助かったわけや。
1日も早く

滋賀a子について、もっと詳しい情報はないの?

残念ながら、これ以上は現地で取材せんと分からへんな。

なるほどね。カレーマンとしては、カレー事件の真犯人の情報のなかで、これがいちばん説得力を感じるってことね。

そういうことや。警察は、林眞須美先生を犯人にするために、ヒ素を持ってるのなんて林家だけってことにしたかった。だからほかのヒ素の所有者なんて調べもしなかったんちゃうか。

調べても検察に送ってないかもしれないわね。他の冤罪事件でもあったわ。

それもあり得るで。
なにしろ林眞須美先生は、大阪拘置所の3畳足らずの部屋に27年間も閉じこめられたままや。早いとこ真犯人に出てきてもらって、林眞須美先生には1日でも早く娑婆に戻ってきてほしいで。


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