世論の関心は「真犯人」
Yahoo!やUbersuggestで「和歌山カレー事件」と検索すると、サジェスト(検索が多い2語め、3語めのワード)の上位に「真犯人」が出ます。


やっぱり世間的に興味を引くのは、この事件の「真犯人は誰なのか!?」ということのようです。
(残念ながら、当ブログのように「再審請求の行方」ではないですね💦)
つまり多くの人は、林眞須美先生が真犯人だとは思っていないみたいです。
■いつまでたっても死刑は執行されないし
■林眞須美先生は一度も自白をしていないし
■夫の健治さんと長男さんが地上波やYouTube番組に出て訴えているし
■ドキュメント映画「マミー」の影響も大きいし
年を追うごとに冤罪の世論が高まっていると。
カレーの真犯人というと、「次女」さんとか「長女」さんとか近所の子供とか、2軒あるお好み焼き屋の抗争とか、林家をはめたとか、色色と言われてきました。
まあどれもこれも根拠のない憶測ですね。言ったもん勝ちになっています。
弁護団が提示していた真犯人
結論から言うと、カレー事件の真犯人は目星がついています。
第1次再審請求の和歌山地裁の決定文「浅見決定」を読めば分かります。「P14」というのが真犯人候補の女性です。
(この画像は、私が判例時報社から購入した平成29年11月11日号をスキャンしてPDF化し、それをスクショしたものです)


再審弁護団が住民から聞き取り調査を重ね、再審請求で真犯人候補を提示した、ということですね。
「真犯人は誰それだ」なんていう際どいことを、弁護士がおいそれと書くはずがないので、よほどの確信があるとみていいでしょう。
ちなみに裁判所は、ご覧のとおり、弁護団の真犯人候補を否定しました。これはもちろん想定内です。
再審請求に真犯人の提示は必要ないですが、真犯人を提示するとしないとでは裁判官の心証が違ってくるようです。ほかの再審事件でも、否定されるのは承知のうえで弁護団が真犯人を提示することはよくあります。
で、P14とはどういう女性なのかというと、確定審(最初の1~3審)の一審の判決文に書いてあります。

ちなみにこの判決文は、本物の判決文を、判例タイムズ社が一般販売用に構成しなおし見出しをつけたもので、固有名詞は匿名になっています。
更にちなみに、なぜP14が「滋賀a子」と分かるかというと、林眞須美先生以外に一人でガレージでカレー鍋を見張りした人は3人いるのですが、そのうち、上の浅見決定にもあった「夫と二人暮らし」なのは「滋賀a子」だけだからです。
確定一審判決によると、「滋賀a子」は事件当日、午前中のカレーの調理にも参加し、夏祭り会場で食べ物の給仕もしていた女性です。

ちなみに、ガレージと夏祭り会場はすぐとなりです。

ここで見逃せないのが、滋賀a子の夫が以前「製材業」をしていたということです。
製材業であれば、ヒ素と接点が出てきます。ヒ素は木材の防腐剤や防蟻(ぼうぎ)剤に使われていたからです。Wikipediaによると、クロム、銅と一緒に薬剤に加工されていたようです。

滋賀a子の夫はヒ素と接点があった。くわえて上記の浅見決定によると、弁護団は、滋賀a子がヒ素を所持していた事実を聞き取っている。
もちろん弁護団には警察のような強制力はないので、これ以上つっこんだ調査はできません。が、これだけでも重みのある事実です。確定判決には、林家以外に園部でヒ素を所有している住民のことなどひと言も触れてないですから。
「本人か家族が食べた」ら犯人候補から外した裁判所
私が「滋賀a子真犯人説」にリアリティを感じるのは、滋賀a子がカレーを食べて急性ヒ素中毒になっているからです。

裁判所は、本人または家族がカレーを食べて中毒になった人は自動的に犯人候補から除外しています。しかしそれはちょっと短絡的すぎないでしょうか?
こんな顔見知りしか参加しないような小さなお祭りで、食べ物に毒物なんて入れたら、調理や給仕を担当していれば、自分にも疑いが向くことは予想がつくはずです。
ならば、自分もすこし食べて「被害者」になりすまそう、ぐらいのことは考えても不思議ではないでしょう。
ヒ素の知識が浅くて、こんなに症状が重くなるなんて知らなかった、いわんや4人も死ぬなんて思いもしなかったのかもしれません。
なのに、本人と家族がカレーを食べた人を自動的に犯人候補から外したのはなぜかといえば、林眞須美先生を犯人にしやすくする目的だったとしか思えません。林家はだれもお祭りのカレーは食べていませんからね。
その他の真犯人説
その他の真犯人説については、林眞須美先生の長男さんがYouTube番組で、事件の被害者の会役員から聞かされたと明かしたことが、「界隈」では有名ですね。
「マミー」の二村真弘監督が手がけたYouTubeチャンネル「digTV」のこの番組でも、最後のほうで、真犯人を追って取材を重ねる場面があります。
どちらも地元の別々のお好み焼き店ですが、根拠までは示されていません。
弁護団の提示する真犯人説がいままで語られなかったのは、弁護団が特に主張してこなかったのと、2017浅見決定が掲載された判例時報が有料だからだと思われます。SNSでは無料の情報ばかりが飛び交いますからね。
とはいえ、弁護団の提示する真犯人が確実、と私も断言できるわけではありません。数ある真犯人説のなかではいちばん信憑性があると思う、ということです。
事件から27年がたちます。林眞須美先生は、大阪拘置所の3畳足らずの部屋に閉じこめられたままです。一日も早く、真犯人にまつわるより有力な情報が出てくることを願ってやみません。
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