
ねえカレーマン、眞須美さんには「動機がない」とよく言われるわね?

言われるな。

眞須美さんはプロの保険金詐欺師であって、お金にならないことはやらないと。
プロの保険金詐欺師

せやな。そこはこのYouTube番組とか、色んな人が異口同音に言うてはるな。

説得力あると思うのよねえ。

あと、夫の健治さんのこのインタビューも見逃せんな。

「5億円」の大勝負の年だったのね。

カレーにヒ素とか入れてる場合ちゃうで。

判決文では動機はどう認定されたのかしら?
動機は存在しないことを証明してしまった

確定一審判決のまとめの「被告人の犯人生の検討」にあるで。「動機については解明することができなかった」やな。


95回も公判をひらいて動機は解明できなかったって、よくもまあ堂々と言えたものね。

まあ正確にいうと、「解明できなかった」じゃなくて「動機は存在しないことを証明してしまった」が正しいな。判決は自分らの失敗を棚上げしているで。

えっ、それはどういうことなの?
論告➡︎判決から見えてくること

かんたんな話や。これは判決文だけ見てもわからへん。検察の論告から見ないとな。2002年6月6日の毎日新聞に論告の詳報があってやな。



なるほど、検察は論告の段階では、「犯行の原因」として緑丸の3つを挙げていたのね。
- ガレージで主婦たちに疎外されたことで激高した
- 食べ物にヒ素を混入するのは慣れていたから抵抗感がなかった
- 麻雀仲間にヒ素カレーを食べさせて保険金を得ようとした

❶と❷はセットや。❶の激高が原因でヒ素を混入したのは飛躍があると思うかもしれないが❷という事情があったのだ、と検察は主張していたんや。
被告が他の主婦らの対応ぶりに激高したことは明らかであるが、この程度のことで、4人の死亡と63人の急性と素中毒のり患という極めて重大な結果をもたらしたカレー事件の犯行の直接的な原因となり得るのかという疑問が生じないわけではない。以下において、被告の激高が、その意趣返しとしてカレー事件の犯行にまで飛躍していった原因・経過について検討する。
(ア)亜ヒ酸使用に対する規範意識の鈍麻
どこにでもあるような自治体内での主婦同士の確執に端を発した激高が、はたして、カレー事件のような大事件の原因となり得るのかという疑問が生じるのは、常識を備えた人格者の行動を基準にしているからである。
しかしながら、被告は、常識を備えた人格者とは到底思えない。被告は、昭和60年11月からカレー事件の発生した平成10年7月25日までの約13年間に、保険金取得という自己の欲望を満たすため、いずれも飲食物に亜ヒ酸を混入して健治らにこれを摂取させる方法により、起訴に係る従業員D事件等4件及び類似事実として立証した従業員B案件等7件を反復継続して敢行してきた人物なのである。
そして、被告は、長期間にわたって亜ヒ酸の使用を繰り返し実行したことにより、亜ヒ酸を人に使用することに対し、完全に慣れきり、何らの抵抗感や罪悪感を感じない異常な性癖ないし人格を形成していったものと認められる。このような被告の異常な性癖ないし人格を前提に考えれば、本件犯行に及んだとしても、何ら不合理ではないというべきである。(2002年6月5日 毎日新聞 大阪)

常識がないとか異常な人格とか、もう言いたい放題ね。

検察は動機を説明でけへんから、林眞須美先生を「異常な人間」ってことにしないと有罪が立証できんわけや。

当時のワイドショーと週刊誌の「林眞須美バッシング」という応援があったからこそできた主張って感じね。

そうやろな。こんな悪ふざけが当たり前のように「報道」されていたからな。
「激高」と「保険金目的」が否定されて残ったのは?

そういえば、「激高説」は否定されたって聞いたけど?

そうや。3つの「犯行の原因」のうち、❶「激高」と❸「保険金目的」を裁判所は否定したんや。

どうして否定したの?

判決文のここやな。



「激高」のほうも、そんなことぐらい捜査の段階でわかっていたでしょって感じだけど、「保険金」のほうは、麻雀をする予定があったかどうかも判明しなかったの?
じゃあ検察は、眞須美さんが、来るかどうかすらわからない人たちに毒カレーを食べさせようとしたと考えたってこと?

そうなるな。

90回以上も公判をやってきて、総仕上げのプレゼンがこれ?

そうらしいで。

だいたい、「❶激高したから❷いつもの習慣で入れちゃった❸保険金も狙えるし」というのが検察の論告だったのに、❶と❸が否定されて❷だけ残って、それが「犯行の原因」になるの?

ならんような気がするで。

殺人事件なんだから、「動機」ってすごく大事よね?

イロハのイちゃうか。
判決を文字どおり解釈すると……

判決を文字どおり解釈すると、こういうことよ。1998年7月25日午後12時40分ごろ、和歌山市園部の民家のガレージで、眞須美さんが鍋番でいすに座っていた。そこで突然、
今からこのカレー鍋にヒ素を入れよう。なにか理由があるわけじゃないけど、あたしは食べ物にヒ素を入れるのは慣れているんや。抵抗感も罪悪感もないんや。よし、入れるで。
ということで混入したってことよ?

シュールやな。いやホラーか。

たしかに漫画っぽいな。

裁判官だって、こんな意味不明な「犯行の原因」だと困るでしょうから、論告の通り書きたかったはずだけど、どうしても「激高」と「保険金」は認められなかったってことよね。

せやな。全体の信用に関わるやろうしな。

カレーマンが言うように、これは本当に「動機は存在しないことを証明してしまった」のかもしれないわね。

そうとしか思えへんで。



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